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名探偵に薔薇を・感想 [小説]

たまの平日更新。小説の感想です。

「名探偵に薔薇を」はスパイラルの原作者である城平京さんの推理小説です。
数年前に「もう読まないから」と友人から譲り受けたものを、今更ながら読んでみました。

今まで手を付けなかったのは、スパイラルの初期の頃は本当に絵だけの漫画だと思っていて、トリックも推理も偶然に上に成り立っているようなものが多くて、これ本当に推理小説が書ける人が原作なの?、と思っていたとこもがあったためで、とんでもない駄作を読むことになるんじゃないかという不安があったせいです。
でも、読んでみないことには始まらないので読んでみました。

元々は第2部の「毒杯パズル」のみの作品だったものを、第1部の「メルヘン小人地獄」を書き加えて1冊の本になったという作品。普通に最初から読んでみました。

ネタバレが多すぎるので、ちょっと隠します。
ちなみに、あまりいいことは書いていないので、嫌いな方はスルーでお願いします。ひとまず、第一部読了。
読んでいる途中から気になって仕方なかったのが「小人地獄」という名前のほぼ完璧な毒の存在。
致死量0.1g、無味無臭、水によく解けて、飲んだ後1時間後に心不全で死亡する、という代物。いくら解剖しても毒が検出できないので、完全犯罪に利用できる、とのこと。
20g以上一気に飲もうとすると苦すぎて飲み下せないので吐き出してしまい、死ぬことはできない、という弱点はあるものの、こういう毒って小道具としても推理小説に出てきていいものなのかなぁ、と思ってしまいました。

でも、そんなこと言ったらひぐらしの雛見沢症候群だとか、デスノートだとか、クロスファイアのパイロキネシスとかも推理もの(ちょっと違うところもありますが)に出てきていいのかというのがありますが。

それでちょっと考えてみたのが、微妙に現実にありそうでなさそうなものが扱われているのがダメなのか、と。デスノートはもう現実にありえなさすぎる力だからあくまでファンタジーとして捉えられるけど、小人地獄は現実にありそうと思えなくもない。だから、それが存在している作品に対して抵抗感があるのか、と。
その辺りが私の中での境界線みたいです。

推理については、可もなく不可もなく、という感じ。
とりあえず、探偵が出てくるのが遅いなぁ、と感じました。


そして、第二部。
うーーーーーん、悪くはないとは思うけど、微妙だな、というのが正直なところでした。
どんでん返しが2回ある展開はいいのですが、何かこう……探偵役の瀬川みゆきって真相に振り回されすぎじゃないの?、名探偵じゃないんじゃないの?、と思ってしまいました。

賞の選考のときに既存作品と展開が似ているということが槍玉に挙げられたということですが、私はその既存作品がわからないのでその点は気になりませんでした。
気になったのはやっぱり「小人地獄」という毒薬。
ほぼ完璧な毒を、犯人はあえて大量にポットの中に入れて発見させやすくしたのはなぜか、というのが最大の謎となっているのですが、一通り話を読んでみると、
「こういう筋書きで話を書きたいんだけど、そのためには既存の毒では書けないから小人地獄っていう架空の毒を作っちゃいました。」
という作者の考えが見えるようでダメでした。

まぁ、そうやって作者が用意した設定の中で破綻なく推理が進んで、読者もそれに対するアンフェアを感じない作りではあると思うので、ミステリとしてこれはこれでいいのかなぁ、と思うものの、心のどこかで納得できないものがありました。

また、探偵役の瀬川みゆきは事件の真相に辿り着くときに、被害者の妹がひき逃げに合っていることを知って、少し前に会っていた被害者の妹が偽物だったと知るのですが、これが偶然の上に成り立っているのがやっぱり気になりました。
作中ではこのひき逃げは口封じのためでは?、という描写のありますが、最終的にこのひき逃げに対して毒殺事件関係者は無関係だったようで、この事件の犯人は出てきません。
被害者の妹が偶然ひき逃げにあって、それが偶然毒殺事件からそう遠くない日で、偶然犯人が捕まっていなくて、それを偶然刑事が探偵にポロッと漏らしてしまう。
……都合よすぎじゃないですか?

スパイラルの初期の頃の、偶然の上に事件が成り立っている感じによく似ている、と思いました。
スパイラルの原作を担当する前に書かれたものなので、それはそれで当たり前なのかもしれませんが。


でも、ネットで評価を見るとこれが結構いい評価が多くて、そんなものかなー、と思ったり。
少なくとも、私の感性とは合いませんでした。
気にするほどのことじゃないような細かいところにツッコミ入れたくなってしまったということもあり。
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