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宇宙皇子の話 [小説]

このブログで記事を書いた時からずっと定期的にアクセスがあるのが「風の大陸」の話です。
ブームがピークだった時にネットが普及していなかったせいか、最後まで追い続けた人がそこまで多くないせいか、ネットでの感想はそこまで多く存在しないので、定期的にアクセスがあるようです。
それと似たような作品としてふと思い出したのが「宇宙皇子」だったので、今回は宇宙皇子について書きたいと思います。

※あまりよいことは書いていないので、ファンの方は閲覧注意です。 また、最初からネタバレ全開で行きます。


宇宙皇子は最終的に全48巻となった長編で、地上編、天上編、妖夢編、煉獄編、黎明編(煉獄編まで全10巻、黎明編のみ全8巻)とあり、ブームのピークは天上編のときだったと思うのですが、私自身この作品を読み始めたのは煉獄編の3巻が発売された頃でした。
天上編の途中までは劇場版が制作されたり、OVAが制作されたりして、当時としてはかなりの勢いがあった作品だったように思います。
私自身この作品を知ったのは確かテレビで劇場版が放映されたことでしたし。
そのときは登場人物のこととかまるで知らなかったので、話自体何が何やら……だったのですが、高校の図書館にこの作品の地上編・天上編があり、借りて読んでみました。

で、この作品、確かに天上編までは面白いと感じていました。
話の進みはすごく遅いのですが、この作品の時代背景が飛鳥~平安時代初期くらいまでだったので、当時個人的に古代の話が好きだったこともあり。
また、天上編で各務が帝釈天にさらわれて、皇子が助けるためにあれやこれやがんばる辺りは、続きが気になって仕方なかったものです。
劇場版で描かれていたのもこの辺りで、今更ながらに思えば、劇場版が制作された理由もよくわかります。

で、天上編を読み終わっても続きが気になったもので、図書館で妖夢編以降を入れて欲しいとリクエストしたら本当に入れてくれて、誰よりも早く借りて読んだのは良い思い出です。
最終的に図書館では煉獄編の8巻くらいまで読んだ気がします。
受験生で小説なんか読んでいる場合ではなかったときも、宇宙皇子だけは読んでいました。

しかし、この作品は妖夢編以降大失速。
妖夢編はひたすら歴史を追っていくだけ。長岡京とか平城京への遷都や薬子の変などなど描かれていたのですが、読んでいるこちらとしては史実を知っているので、結末はわかっているわけです。言わば、犯人が分かっている推理小説を読んでいるような感じ。
皇子や各務が歴史にも影響を与えていたんだよ、と言われても、何だか違うような……と、ずっと思っていました。
地上編で皇子が小角から、お前の名前は歴史に残らないけど確かに歴史に影響を与えたんだよ、っていう感じのことを言うシーンがあるのですが、そのときは説得力がそれなりにあると思っていたのに、このときにはそれが消えていました。
地上編では歴史を追うだけではなくて、皇子と各務が沖縄行ったり、皇子がなよ竹と出会ったりしていろいろとイベントがあったのに、妖夢編はほぼ歴史を追うだけだったので、私の中の好感度はかなり下がっていました。
一応、皇子や各務たちが出世して直属の部下ができたりして、その子たちとの話もあったわけですが、なよ竹などの話に比べたらそこまで面白いわけでもなく。

でも、まだ諦めてもいませんでした。
妖夢編は元々描かれる予定のない話で、話の厚みを増すために描かれたとのことだったので、煉獄編に入れば面白さが復活するだろう、と思っていました。
天上編は天国を旅する話で、煉獄編は地獄を旅する話。
天上編が面白かったのだから、煉獄編は大丈夫!

という期待も、煉獄編でもろくも崩れ去りました。
天上編は最終的に皇子の本当の父親に会う、という目的があったのですが、煉獄編ではそういう話もなく、しかも7巻くらいで地獄から地上に戻ってきてしまって、それはもう煉獄編ではないのでは……と。
また、別作品「天上の虹」の主人公である持統天皇が、この煉獄編で地獄に落とされていることが判明して、天上の虹でかなり持統天皇に対して私が好感を持っていたこともあり、宇宙皇子の評価は私の中でどんどん下がっていきました。
確かに、この作品では持統天皇が息子を天皇にするために追い落とした大津皇子をかなり良い人だったと描いていて、大津皇子は死後天上界にいたりしてかなり厚遇していたので、持統天皇が地獄にいるっていうのもわからないでもないですが……むしろ一般的な史実を見たらこちらの方が正しいとは思うのですが……本当に個人的に納得できなくて。

それで最後の黎明編に入るわけです。
この話は、小角から独立した皇子や各務が、差別のない流民王国を作って、そこで起きる様々な問題に対処していく、という話でした。
流民王国という構想自体妖夢編の辺りから入っていて、皇子や各務は当時戸籍を持っていない最下層の身分だったということもあり、貴族とか平民とかそんなの関係ない国を作ろう、と。

その構想自体決して悪いとは思わなかったのですが、これが最後かなりグダグダで終わってしまっていました。
流民王国は天上界の神々からも認められて、その証拠として大量の瑠璃が空から降ってきたりしたのですが、皇子は元々天上界の神の子だから天上界に帰らなければならなくて、沖縄で永遠の命を手に入れた各務は仏になるためにやっぱり地上を離れないといけない、となり。
しかも、神になったり仏になったりしたら地上での記憶はすべて無くす、と。
黎明編の後半でようやく皇子と各務は結ばれるのに、最後は2人とも地上から消えて、その後は別々で、最終的には流民王国も皇子と各務というリーダーを失って自然崩壊……

結局、何だったんだろう?
と思ってしまったのです。
差別のない流民王国というのが、一時期古代日本に存在したということに意味がある、とはどうしても思えなかったです。
流民王国を作って、そこでみんな仲良く暮らしました、で終わるわけはないとは思っていたのですが、これだけ長く続いたのだからもう少し救いのある終わり方だったらなぁ、と。


で、この作品本当は全50巻だったところ、最後の7・8、9・10巻が合本扱いで全48巻となりました。
煉獄編までは新書版だったのが、黎明編からは文庫版となり、最後の方はかなり人気も落ちていたのだと思います。
また、黎明編には地上編や天上編からの引用文章がかなりあったのですが、そこを読むと文章自体が面白いと感じることもあって、最後は文章力も落ちていたのかな、と感じる部分もありました。
漫画で言うなら、最後は成長しすぎて変な癖がついてしまったというか、そんな感じでしょうか。
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くれ

長年知りたいことが分かったョ!自分煉獄編挫折組
by くれ (2010-11-06 03:20) 

minerva

その気持ちよくわかります。

天上編は皇子の父親に会うという最終目的があったものの、煉獄編は結局何のために行ったのかよくわからず、帰って来たら来たで小角は皇子に、
「流民王国が作りたいなら作ればいいじゃない。
 どうなろうと知ったこっちゃないから。」
みたいなこと言い出しますし……

最後まで読んだのは、本当に惰性でした。
by minerva (2010-11-07 02:26) 

jack

通りがかりの者です。
ふいに宇宙皇子を思い出して検索しました。やっぱり自分と同じ思いした人がいるんだなあと思いました。^^
自分は新聞広告に載っていたイラスト(地上編文庫本1巻)に惹かれ、天上編15巻くらいの時期から読み始めました。地上編・天上編はかなり嵌りました。ファンクラブも入ったし、天上編Video全巻持ってます。ただ地上編は映画館で目が点になりましたが・・。

妖夢編は第1巻はまあ良かったのですが、途中でイラストがいのまたさんではなくなった辺りから文章にも違和感を感じ始めました。それでもまだ諦めず、minervaさんと同じく煉獄編に期待していたのですが、、、そこで挫折。
いのまたさんが作者を嫌って降りたとの噂を聞きましたが、自分は半分あのイラスト見たさで宇宙皇子読んでいたんだなあと実感しました。後釜のイラストレータについてはもうね・・・無い方がまだマシかなと。

10年後位に黎明編が完結したことを知り、古本屋で立ち読み。
東北に流民王国作るというプロットは良かったのですが、最後に自然消滅って展開に呆然。。(何で作ったの?)
また皇子と各務が結ばれたのは喜ばしかったのですが、最後に記憶喪失して引き離されるって展開にも呆然。。(100年かけて結ばれたのに;;)

流民王国が後のアテルイとか阿倍氏に繋がるとか、流民王国全体が天上界に移って浄土に昇華して皇子と各務はそこの守護神になったとか、何か、もうちょっと救いがほしかったです。
ホント、結局なんだったんだろう?って感じです。

藤川桂介さんって、幻想皇帝とか篁変成秘抄とか、一時期凄いブームを作ったと思うのですが、なんでこんなアッサリ崩壊してしまったのか未だに不思議です。。

でもまあ天上編までの宇宙皇子は今でも好きだし、幼少期の大切な思い出なのは事実なので、時々思い出しては懐かしんでいます。
長文失礼しました。
by jack (2011-02-07 13:53) 

minerva

初めまして。コメントありがとうございます。

なんで妖夢編でダメになってしまったんだろう、ということの中に、確かにいのまたさんがイラストを全て描かなくなってしまったのもありますね。
いのまたさんは一応表紙と口絵は描かれていましたが、変わった方のイラストレーターさんの絵は、どうしてもいのまたさんの絵を劣化コピーしたようにしか見えなくてなんだかなぁ……と思っていました。

当初の予定通り、妖夢編なしで天上編からすぐ煉獄編に入っていたら少しは違ったのかな、とも思いつつ。

黎明編の最後も、事前に皇子と各務は別れなければならないと何度も書かれていたのですが、そこを裏切ってハッピーエンドになるはず、と信じていたのに、事前の予告通りだったというのも残念でした。
最後がハッピーエンドだったら、もう少し印象も良くなっていたかもしれません。
by minerva (2011-02-10 20:59) 

不思議な名無し

管理人様初めまして。愚生は実を云いますと、以前この「宇宙皇子」の本を読んだ事が有りますし、所謂Vシネマでも観た事が有ります。(確か出演は、真田広之だったと思います。もしも違っていたらご勘弁の程を。苦笑) 出来れば、大河「義経」を演じた「滝沢秀明」出演で、再映画化されれば幸甚です。(無論、実写映画化で)キャッチフレーズの ”「この世」の「あの世」は此処に在る!”  は恐らく生涯忘れないと思います。(誠にアホな、初老手前の男の ”戯言”をどうか、お赦し下さい。大爆) 
by 不思議な名無し (2015-09-06 11:52) 

minerva

宇宙皇子がVシネマ化されていた、というのは記憶になく、ネットにもそういった情報はないのですが、当時の人気を考えるとそうなってもおかしくない気はします。
天上編はちょっと難しそうですが、地上編であれば出来そうな感じもしますし。
後半の尻すぼみ感を考えると、今更再映像化ということはないと思うので、だとすれば当時実写があったのであれば見てみたかったなぁ、と思います。
by minerva (2015-09-22 16:48) 

うし

うわ~、6年も前の記事なんですね。
本棚に読んでいない43巻があって、なんとなく気になって検索してこのページに来ました。
そうですか、そういう感じのラストでしたか。
このまま読まないだろうと思うので、ラストが分かってスッキリしました。
ありがとうございました^^
by うし (2016-08-08 03:37) 

minerva

読まないで正解だと思います。
41巻以降の黎明編はほぼ、流民王国に何かの危機が訪れる→解決する、を繰り返すだけです。
ページ数稼ぎとしか思えないような、地上編・天上編の引用が多用されていたりもしますし。
でも、その引用されている文章の方が実際読んでみて面白いという皮肉もあったり。
by minerva (2016-08-17 12:17) 

7年も前の記事に失礼いたします

LDの棚を整理していて『天上編 宇宙皇子』を掘り出し、「久しぶりに見てみるか~」と再生しながら「その後どうなったんだっけ?」と思いながらこのブログにたどり着きました。

当方他の方と同じで、いのまたさんのイラストに惹かれたのがきっかけでかなり初期から楽しみに読んでおったのですが、30巻を過ぎた頃から読むのに義務感みたいなものが出てきまして、読了しておりません。
後書きにも「完結まであと何話!」みたいな書き込みが見られ「書いてて苦痛ならやめちまえよ。」とか思いながら藤川さんの本を読むのをやめてしまった覚えがあります。
幻想皇帝、篁(なんだっけ)、天若日子(だったかな?)。

それに、アニメ化されて(実写化もされたんですか?知りませんけど。)これほど悲しかった作品はありませんでした。
『カドカワは読んでから見ると絶対後悔する。』と言う・・・

藤川先生といえば、結構有名なアニメの脚本を書いている方なので、クレームもいれられないのか?という思いもありましたね~。

by 7年も前の記事に失礼いたします (2017-04-21 23:47) 

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